Ryan Adams "love is hell"
ついこないだまで、「困った、カラ梅雨だ」って言っていたのが、今度は雨雨・・・。 うちの地方も水不足が深刻になりつつあったから、恵みの雨、ではあるものの、 近年の天候は極端。 個人的なことでいうと、雨が続くと滅入ってくる。 そんなときなのに、あえての"love is hell"。 アルバムとして発表しようと制作したものの、レコード会社に 「こんな暗いのだめだめ!」と言われてお蔵入りしかけたものを、 2003年に2枚のEP盤にわけてリリースされたのが1番最初。 ところがどっこい。レコ社の思惑に反してこのEPが大絶賛され、翌年5作目として正式にアルバム化された。 アルバム化されたのには、OASISの"wonderwall"のカバーも収録。 ライブを見たノエルじきじきに「これはもうあんたのものだな」と言わしめたそう。 そしてシングルカットされ、グラミーにノミネートまでされました。 Noelに曲のよさを再認識させたことでも十分おわかりいただけるかと思いますが、 曲のよさを十二分に活かしつつも、Ryan版にきちんと仕上がった名カバー。 大傑作なうえにこんなに話題性も豊富なのに日本ではなぜかほったらかし(事情はあったんでしょうが)にされてて、日本盤は発売されなかった。 ですが!なぜこのタイミング?!なのかはわかんないけども、ようやく日本盤がリリースされた。 しかもUK盤に収録されていたボーナストラック4曲と、完全未発表曲3曲を収録したdisc2付きという超太っ腹盤!!! おこがましいながらも私もライアン好きなもんで、この作品は好きでした。 重要な歌詞がよくわからないため、なにを歌ってんのかよく理解してなかったけど、 「救いようのない暗さ」だと読んだりしたし、なんとなーくだけどそれはわかっていた。 だけど、ライアンの言いたい事はよくわからずとも、何とも言えない美しいメロディの数々は、涙なくしては聞けない。 カントリーとかフォークとかほとんど見当たらない曲ばかりで、そこには彼が若い頃に夢中になったThe SmithsやThe Jesus and Mary Chainの影響がモロに現れている作品。実際はわからないけどRideも付け加えて、と私は思ってしまう美しくて悲しい曲(+RIDE風軽さ)のオンパレード。 どの曲もほんとに恐ろしく美しい。まさに恐ろしい。 そしてもっと怖い事に「私盤"love is hell"」とでも言いますか。 勝手に「きっとこんな歌だわ/涙」などと聞いてた時期もありました。 もちろん激ダークな感じ。 で、日本盤を買って。 おとといようやく日本訳を読み、disc2に収録されてる曲たちも初めて聞いた。 そして、久々(軽く2年は聞いてない)に"love is hell"を聞いた。 やっぱりすごい。すごい暗さ。 だがそれがとんでもなく素晴らしいのです。 今、勇気出して開いたのは吉と出るか凶とでるか? ちょっとわからないタイミングだけど。 1曲目の"political scientist"が私は本当に大好きだったのだけど、 歌詞が・・・想像以上にホラーだったことに驚きながらも、やっぱりこの曲のもつ 「美」にやられてしまいます。 このアルバムは当時の彼女、Leona Naessへの想い(執着?)がぎっしり。 あちこちに"London"だの"English girls"だのばらまいてるから そこは知ってはいたけどここまで赤裸々だったのね、計り知れない喪失感がこもっていたのかと驚いた。 アルバムの中では比較的明るめのメロディの"love is hell"では「愛は地獄さ」と声高らかに何度も叫ぶRyan。 だけどさ、自暴自棄になりながらも諦めきれないよ~、て歌うRyanの「愛は地獄」に説得力無いよ。 "I see monster"(大名曲!)や"english girls approximately"とか"hotel chelsea nights"とかとか、全曲でこんなにも「愛してよ、戻ってきてよ」って欲しがっているじゃん。 もしもほんとに地獄だったらいいのに。行きたくないのに。いらないのに。 いや、だから地獄なのか?!わかりません。 そして"city rain,city streets"は友人でもあった(もしや恋人かも?らしい) 女優キャリー・ハミルトンの死を乗り越えられないでいたRyanの苦悩がうかがえる。 ものすごい自責の念の曲だったんだ・・・・。 歌詞を知らずとも人を悲しみに突き落とすアルバムなのにも(人聞きが悪い言い方ですが)、ようやく納得しました。 そしてdisc2に収録されている7曲もこれがまた、名曲揃い。 よくぞこうして日本盤に、しかも歌詞つきで発売していただいた(感涙)!と思わずにいられない。 カントリー調の曲や"fuck the universe"なんかのNYぽい曲もありますが、"love is hell"の流れをくんだ曲が多いな、と感じる。"black clouds"なんか最高にスキ。 こうして文字にすると「どんなレコードなんだ」と震え上がってしまいそうだけど、 ほんとにどの曲も今聞いてもすごいんです。本当に美しすぎる。 歌詞を知って、私にとって前よりずっとずっと大切なアルバムになりました。 "love is hell"ではやたらと"rain"が登場します。 全編通じて湿っぽい、雨がしとしと降ってる感じです。 だから余計、今の時期にハマってしまうのかもしれませんね。 滅入った気分をさらに滅入らせてしまうかもしれないけど、 それでもやっぱり私はRyan Adamsの音楽と言葉(とやんちゃぶり)がとても好きだし、"LOVE IS HELL"は大傑作です。 oh 都会の雨が 都会の町並みを水浸しにする 俺の都会のベットも このいかれちまった頭もすべて 宇宙では雪が降っているんだろうか 神よ、あなたと話せたらいいのに 宇宙では雪が降っているんだろうか -from "city rain,city streets" by Ryan Adams Ryan Adams official site
by ms.paddington
| 2007-07-06 21:43
| 音楽
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