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Volver

Volver_d0021094_16363536.jpg 『ボルベール<帰郷>』
予告編はコチラにて視聴できます。

失業中の夫と思春期の娘を養うため、朝から晩まで働くライムンダ(ペネロペ・クルス)。明るくたくましい彼女にも、確執のあった母が父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。そんなある日、あろうことか夫が娘に関係を迫り、抵抗した娘に刺し殺されてしまう。ライムンダが愛娘を守りたい一心で夫の死体の処理に奔走してる最中、今度は故郷ラ・マンチャに住む伯母の急死の報せが。ライムンダの姉が葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで死んだはずの母の姿を見掛けたという奇妙な噂を耳にするのだったが…。

『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続く、スペインの巨匠・ペドロ・アルモドバル監督が贈る"女性賛歌三部作"の最終章。

主演はスペインの至宝、ペネロペ・クルス。
まず、何をおいてもこのP・クルスがほんとーーーーーーーーに素晴らしかった。
どう表現したらいいか・・・・「情熱的」?「生命力みなぎる」?「溌剌」?「濃い血の通った」?いろいろ考えたんですがどれもしっくりこない。私の貧相なボキャブラリーでは言葉で表わせないんですが、[女][母親][娘]の全てをものすごいパワーと圧倒的な演技力・存在感で体現していて本気で感動しました。
感想書こうとしても、もう彼女のことしか書けそうにないくらい。
泣いて笑って怒って歌って。どの表情も120%女なのだ。骨太で逞しくってそしてその美しさだけで涙がでそうなほど美しかった。
役柄としてももちろんだけどスクリーンのこちらにいる観客にも一切の媚びのないペネロペさんの佇まいに「美貌」の美しさじゃなく、「女」としての美しさってのはこうなんだよ!と見せつけられた気がした。男はみなころころオチるだろうけど、女も惚れる女だぜ!


ストーリーとしては、一筋縄じゃいかないアルモドバル監督ですから「うそーん」とつっこみたくなるほど過激で衝撃的な展開を何度も見せるのだけど、でも映像で見せられると不思議と「ないない」とはつっこめない。観客を引き込んでしまう巧さはやっぱお見事、素晴らしい!
ストーリーの濃さや主人公の気性の激しさを表すかのような、赤をメインとした原色の色使いも若干怖いとさえ思ったほどハマってました。
あと、「東風は人の気を変にする」とか「迷信深い田舎の人」なエピソード(本当かどうかはわからないけど)、アツイ主人公と対照的にほわんとした(ちょい天然)母親&姉のキャラなどもどことなく私自身の持つ<両親の里・帰郷>のイメージとぴったりで懐かしい気持ちになった。

「悲劇」って望んで起きてしまうことではないし、選ばれた人だけの身に起こることでもない。誰の身にも起こりうる可能性がある、当然起こらないことを願うけども。
そう思うとアルモドバル監督の描く話や人間の生きざまというのは、「フィクションだし」と片付けてはいけない気がする。
そして想像を絶するほどの悲劇でも、押しつぶされそうなほど重すぎる秘密でも、「母」「父」「親」というのは耐え抜き守り通す強さを身につけていく生き物なんだなぁ、と。それが正しいかどうかは別としても。
んで壮絶すぎる話だけど、溢れんばかりの優しさと希望を覗かせる終わり方で幕を閉じるところが、この監督を大っっ好きな理由なんです!!!
きっとジョン・キャメロン・ミッチェルと似てる愛を持つ人だと思う!そう信じてしまうほど大きな愛と優しさを見せてくれる。
どこにも希望を見いだせない映画は嫌。(今まで数作だけあったけどそれらを見たことをいまだに後悔してる。)
母親に会ってたわいもない話をしたくなりました。
by ms.paddington | 2008-02-04 18:04 | 映画
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